ゆとりだけにゆとりある生活を送りたい、キスケです。
amazarashiというアーティストを知っているだろうか?
amazarashiとは
amazarashiは2人体制のバンドで、公式HPでは以下のように紹介されている。
青森県在住の秋田ひろむを中心とするバンド。
日常に降りかかる悲しみや苦しみを雨に例え、僕らは雨曝だが「それでも」というところから名づけられたこのバンドは、「アンチニヒリズム」をコンセプトに掲げ、絶望の中から希望を見出す辛辣な詩世界を持ち、前編スクリーンをステージ前に
張ったままタイポグラフィーと映像を映し出し行われる独自のライブを展開する。
出典:amazarashi official HP | biography
顔を出さない、いわゆる「覆面バンド」。ちなみに、メンバーの2人は夫婦である。
amazarashiの音楽は、例えるなら「暴力」である。
当たり障りのない歌詞なんて一つもない。ボーカルの歌い方も感情的・情緒的である。
歌詞の細やかな風景描写とボーカルのエモーショナルな歌い方に、歌の情景がまぶたの裏に映るような気さえする。
amazarashiとは、「歌詞と歌声が、心をぶん殴ってくるバンド」だと思っている。
私は落ち込んだとき、amazarashiの歌をよく聴く。心をぶん殴られに行く。お察しのとおりドMである。
前置きはこの辺にしておいて、amazarashiの感情を揺さぶってくる曲の中から、特におすすめの9曲を紹介する。
さくら
一人の部屋に 春一番の迷子 二人で選んだカーテンが揺れてます
どうせなら 荷物と一緒に
この虚しさも運び出してくれりゃ良かったのに
何もなかったように僕は努める 最後に君が干してった洗濯物
なんでもなく 張り付いた
桜
出典:さくら – amazarashi – 歌詞&動画視聴 : 歌ネット動画プラス
曲と一緒に、歌詞の時系列も進んでいく。
青臭い思い出を共にした彼女と歌の主人公は、別れてしまったのだろうか。
美しき思い出
生きることと死んでしまうこと 考えだすと 頭がおかしくなりそうだ
結局僕が抱えられる荷物は この両手に納まる分だけ
だったらそれでいいよな 人から見ればゴミくずみたいな
不格好な思い出をつれて 僕は未来へ向かうとするよ
出典:美しき思い出 – amazarashi – 歌詞&動画視聴 : 歌ネット動画プラス
思い出や今考えていることを乱暴に書き出したような歌詞。
加えて、Bメロから一気に駆け上っていくような歌い方に激しく感情が揺さぶられる、
夏を待っていました
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身長が高くて喧嘩が強い 太平はいつも 無茶な遊びを思いつく
「この鉄橋に一番 長くぶら下がったやつの
言うことは何でも聞かなきゃダメだぜ」
僕らはびびって出来なかったけど 太平は平気な顔でぶら下がる
7年後に太平はビルから飛び降りた
そんな勇気なら無いほうが良かった
出典:夏を待っていました – amazarashi – 歌詞 : 歌ネット
この曲で初めてamazarashiを知った。きっかけは5年前、大学時代、友達とのカラオケである。
彼女が好きだから歌ってみたと照れ臭そうに言っていたが、歌詞に衝撃を受けた私は「どんな彼女やねん」と若干引いたことを覚えている。
この曲を初めて聴いたときから、心のどこかをえぐられたような感覚がずっと残っている。
ちなみに、上記の友達はつい先日、その彼女と婚約した。
この街で生きている
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夜の帳に 最終のJR 君を連れて消えた
逃げ道じゃない 感傷でもないんだよ 僕らの思い出は
何があっても 僕は見方だ 友達よ
出典:この街で生きている – amazarashi – 歌詞 : 歌ネット
amazarashiの歌詞で一番好きなのはこの部分だ。
思い出にすがりたくなるとき、この曲を聴いてはぶん殴られたような感覚になっている。
ちなみに、大学を卒業し、これから離れ離れになるというときに、友達と行ったカラオケで、これを歌って号泣したことを覚えている。
彼らとは今も友達だ。何があっても味方だ。
無題
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「信じてたこと 正しかった」
出典:無題 – amazarashi – 歌詞 : 歌ネット
ストーリー仕立てになっている曲。大サビ前のCメロの悲痛な歌詞、悲しい歌声に胸が張り裂けそうになる。
ひろ
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なぁひろ 僕は今日も失敗しちゃってさ
「すいません、すいません」なんて頭を下げて
「今に見てろ」って愛想笑いで
心の中「今に見てろ」って愛想笑いで
かっこ悪い大人になってしまったよ
だらしのない人間になってしまったよ
お前が見たら絶対 絶対 許さないだろう?
だから僕はこんな歌を歌わなくちゃいけないんだよ
出典:ひろ – amazarashi – 歌詞 : 歌ネット
初めて聴いたとき、「この曲の主人公俺かよ」と思った。特に愛想笑いでくだらない大人やってる部分。
幸いにも私の親友は生きているが、19歳の自分なら今の自分をどう思っただろう、と自問自答して心が痛んだ。
引用の部分でボーカルの歌い方がトップギアに入って強烈に感情を揺さぶってくる。
ライフイズビューティフル
あっけなく命や夢が消える星で ありふれた良くある悲しい話
そんなもんに飽きもせず泣き笑い 人生は美しい
一つを手に入れて一つを失くして いつも何か足りないって泣いている
だけど後悔なんてしてやるものか 人生は美しい
出典:ライフイズビューティフル – amazarashi – 歌詞&動画視聴 : 歌ネット動画プラス
秋田ひろむは天才だと思う。
自分のボキャブラリーが貧相でうまく表現できないことが本当に悔しい。
一度聞いて欲しい。今自分が送っているしょうもない人生が、「誰が何と言おうとそれでも美しい」のだと、そう言われているような気分になる。
エンディングテーマ
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僕が死んだら 流れ出すエンドロール 人はそれぞれ 日常に戻って
ふとした時に思い出して 欲しいけどさ 我ながら名作とは言えないもんな
出典:エンディングテーマ – amazarashi – 歌詞 : 歌ネット
まるで遺書のような歌詞。メッセージ性は強いが、歌い方は優しい曲。
「満たされない、何かが足りない」と思ってしまう私の人生は、実は幸せなのかもしれない。
僕が死のうと思ったのは
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僕が死のうと思ったのは 心が空っぽになったから
満たされないと泣いているのは きっと満たされたいと願うから
出典:僕が死のうと思ったのは – amazarashi – 歌詞 : 歌ネット
ボーカルの秋田ひろむが中島美嘉に楽曲提供した曲。「僕が死のうと思ったのは」という強烈な歌詞を力強く歌うところに、感情が揺さぶられる。
amazarashiの魅力
amazarashiの曲の歌詞は難しい。私は、意図のとおりに解釈できている自信がない。
しかし、その一方で、情景の描写は具体的でわかりやすい。
薄荷飴 漁港の灯台、 錆びたアーチ橋 捨てた自転車
木造の駅のストーブの前で どこにも旅立てない心
出典:僕が死のうと思ったのは – amazarashi – 歌詞 : 歌ネット
ふいに新海誠の初期の映画「ほしのこえ」の主人公とヒロインのやり取りを思い出した。
ノボル「ねえミカコ、俺はね」
ミカコ「私はね、ノボルくん。懐かしいものがたくさんあるんだ。ここにはなにもないんだもん。例えばね」
ノボル「例えば、夏の雲とか、冷たい雨とか、秋の風の匂いとか」
ミカコ「傘に当たる雨の音とか、春の土の柔らかさとか、夜中のコンビニの安心する感じとか」
ノボル「それからね、放課後のひんやりとした空気とか」
ミカコ「黒板消しの匂いとか」
ノボル「夜中のトラックの遠い音とか」
ミカコ「夕立のアスファルトの匂いとか…。ノボルくん、そういうものをね、私はずっと」
ノボル「ぼくはずっと、ミカコと一緒に感じていたいって思っていたよ」
歌詞に描かれた情景を思い浮かべることで、難しい歌詞の意味にも思いを馳せやすい。
それも一つの魅力ではないかと思う。
また、amazarashiでは死という言葉や、自分を卑下する言葉など、暗い歌詞が多い。でも、暗い歌なのに、曲を聴いたせいで気持ちが暗くなることはない。なぜかは良くわからないが、不思議な力があることは確かだ。
amazarashiのPVは、ニーアレプリカントやニーアオートマタのような世界観のアニメーションがいつも使われている。それも魅力的。
追記
と思ったらニーアオートマタにamazarashiの曲が使われているようだ。
ニーアレプリカントが理不尽すぎてニーアオートマタはプレイしてないので知らなかった。
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