たぬき暮らし

たぬき顔の嫁と子供と暮らしているので。

amazarashi「僕が死のうと思ったのは」の歌詞の意味を考察する

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ゆとりだけにゆとりある生活を送りたい、キスケです。

amazarashiの「僕が死のうと思ったのは」という、衝撃的なタイトルの曲がある。
初めて目にしたときは、どんな暗い曲かと思ったが、実際に聞いてみて裏切られた。もちろん、いい意味でだ。


この曲の歌詞の意味を考察してみた。

「僕が死のうと思ったのは」とは

www.youtube.com

もともとはボーカルの秋田ひろむが中島美嘉に提供した曲で、2013年にリリースされた。
amazarashiの曲としては、2016年に発売されたミニアルバム「虚無病」に収録されている。

優しいメロディ、悲しげでありながら力強い歌声、暗闇に一筋の光が差し込むような希望を感じさせる歌詞が調和した、名曲だ。


考察

歌詞の順番関係なく考察しているので、歌詞を覚えていないと読みにくいかもしれない。


全体の歌詞はこちら。
https://sp.uta-net.com/song/202901/

「僕が死のうと思った」理由

曲中では、死のうと思った理由が何度も語られる。

僕が死のうと思ったのは 靴紐が解けたから
結びなおすのは苦手なんだよ 人との繋がりもまた然り

大切な人との繋がりを失くしてしまったのだろうか。

僕が死のうと思ったのは ウミネコが桟橋で鳴いたから
波の随意(まにま)に浮かんで消える 過去も啄(つい)ばんで飛んでいけ

僕が死のうと思ったのは 誕生日に杏の花が咲いたから
その木漏れ日でうたた寝したら 虫の死骸と土になれるかな


死ぬことばかり考えているせいだろうか、鳥が鳴いたり、花が咲いたことも死に結びつけて考えてしまう。

閉塞感を与える単語

薄荷(ハッカ)飴 漁港の灯台 錆びたアーチ橋 捨てた自転車
木造の駅のストーブの前で どこにも旅立てない心

古びた港町の古びた駅に佇む「僕」の姿が浮かぶ。

パソコンの薄明かり 上階の部屋の生活音
インターフォンのチャイムの音 耳を塞ぐ鳥かごの少年
見えない敵と戦ってる 六畳一間のドンキホーテ

狭いアパートの一室に引きこもり、来客を無視してパソコンに向かう少年の姿が浮かぶ。
前述の港町で一人暮らししているのだろうか?それとも、それから少し時間が流れ、港町を旅立ち、都会で一人暮らしをしているのだろうか?
どちらにしても、「少年」は、過去の「僕」を差しているのだと思う。
「ドンキホーテ」とは、小説及びその主人公の名前だが、その内容から、「空想と現実、虚像と実像の区別が付かない人物」という意味であると考えられる。
この少年もまた、空想と現実の違いがわからなくなってしまったのだろう。某掲示板で顔の見えない誰かと言い争いでもしているのだろうか。


いずれにせよ、こうした単語の羅列からは、「僕」や「少年」が現実に苦しんでいる様子が連想される。

過去への後悔

僕が死のうと思ったのは 少年が僕を見つめていたから
ベッドの上で土下座してるよ あの日の僕にごめんなさいと

少年時代、輝かしい未来を思い描いていた自分に対しての謝罪だろうか。


今日はまるで昨日みたいだ 明日を変えるなら今日を変えなきゃ
分かってる 分かってる けれど

しかし、この歌詞を見ると、少年時代からずっと同じような日々を繰り返し、前に進めていないことに対するの謝罪のように思える。
未来に期待していたなら怒りを覚えてもおかしくないのに、睨みつけるでもなく、ただ「見つめていた」という歌詞には憎悪は感じない。
それなら、パソコンに向かう「少年」僕を見つめる「少年」は同じだと解釈でき、辻褄が合う・・・ような気がする。


いずれにせよ、「僕」の過去への強い後悔を感じる。

本当は生きたいと願っている。

僕が死のうと思ったのは 心が空っぽになったから
満たされないと泣いているのは きっと満たされたいと願うから

なぜ死のうと思うのか?それは、満たされたいのに、心が空っぽになってしまったから。
なぜ満たされたいのか?それは、満たされることで幸せになれると期待しているから。

僕が死のうと思ったのは 冷たい人と言われたから
愛されたいと泣いているのは 人の温もりを知ってしまったから

なぜ死のうと思うのか?それは、愛されたいのに、冷たい人だと言われてしまったから。
なぜ愛されたいのか?それは、愛されることで幸せになれると期待しているから。


満たされたい、愛されたい。
「生きたい」という感情が渦巻いているからこそ、こんな言葉が出てくるのではないか。


あなたとの出会い

曲の後半で、「僕」が「あなた」と出会い、「生きよう」と考え始めたことが示唆される。

僕が死のうと思ったのは まだあなたに出会ってなかったから
あなたのような人が生まれた 世界を少し好きになったよ

あなたのような人が生きてる 世界に少し期待するよ


「僕が死のうと思ったのは」という曲は、少年時代から現実に苦しみ、死のうと思っていた「僕」が、「あなた」と出会い、生きることを前向きに考え始めたことを歌った曲であると解釈している。


最後に

この曲で私が一番好きなフレーズはこれだ。

死ぬことばかり考えてしまうのは きっと生きる事に真面目すぎるから


真面目という言葉の意味を辞書で調べてみた。

「うそやいいかげんなところがなく、真剣であること。本気であること。また、そのさま。」
デジタル大辞泉


私は、死にたいと思うことが良くあるが、性格はだらしなく、いいかげんで、嘘もつく。真面目とはいいがたい。しかし、同時に、現実の自分が理想の自分とかけ離れていることへの罪悪感や焦りも感じている。


これを「生きることに真面目過ぎる」と言うのはおこがましい気もするが、きっとそうなんだろう。
愛する人が生きる世界に、こんな名曲が生まれた世界に、私も少し期待するとしよう。